「早い・安い・うまい」といえば一昔前は牛丼屋の代名詞でしたが、
2000年以降に急激に店舗数を増やし、新たな代名詞のひとつとして定着したうどんチェーン。
ピークタイムである平日のランチ時には行列ができるほど人気な反面、うどんの茹で汁に含まれるでんぷんや天ぷらなどの揚げ物から出る油脂によって、その他の飲食店と比較して処理が大変な厨房排水を排出していることを、厨房の衛生管理を担当する皆様はご存知でしょうか。
今回のコラムでは、うどん屋チェーンにおける排水管詰まりや逆流の原因と、その解決方法をご紹介します。

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1.うどん屋で厨房排水の詰まり・逆流が起きやすいのはなぜ?

うどん屋で流している茹で汁は通常白く濁っており、これは小麦に含まれるでんぷんが影響しています。
うどんは茹でると高温のお湯によってでんぷんが溶け出し、グリストラップ内に沈殿します。でんぷんは常温の水には溶けず、排水溝や排水管内に流れ込んで固まってしまうと排水管詰まりや逆流を引き起こします。
このような現象が起きてしまうと、解決のためには高圧洗浄などの専門的な技術が必要になるため注意が必要です。

2.根本的な課題はグリストラップにある可能性が高い

排水溝・排水管を清掃しても異臭が改善されず、
すぐに排水詰まりや逆流が起こる場合、その元凶はグリストラップにある可能性が非常に高いです。

2-1.グリストラップとは?

グリストラップとは、飲食店などの厨房施設に設置が義務付けられている油脂分理阻集器のことを指します。
厨房排水に含まれる食品残渣を取り除き、油脂分を滞留させて分離することで余計な油や汚れが下水道に流れて行かないようにするための設備です。そのためグリストラップ内には、常に油脂や食品残渣が溜まっていきます。

2-2.グリストラップは法に則った清掃が必要

定期的な清掃を行わない限りグリストラップ内では食品残渣が腐敗したり油脂が凝固したりするため、
詰まりや悪臭の直接的な原因となります。
また、グリストラップの清掃時に出る油脂や汚泥などのゴミは産業廃棄物として扱わなければなりません。
産業廃棄物処理が可能な業者と契約し、法に則った処理を徹底しましょう。

3.グリストラップ清掃の前に、構造を正しく理解することが重要

適切な方法でグリストラップを清掃するには、構造を正しく理解する必要があります。
グリストラップは3槽からなっており、それぞれが異なる役割を担っていることを理解しておきましょう。

3-1.1槽目:排水から生ゴミを取り除く

写真の左側が1槽目。排水に含まれる生ゴミは、そのまま流すと詰まりの原因になるため、この段階で取り除きます。
水の下にあるバスケットが食品残渣をキャッチ。網目を通りのけたものはそのまま底部に沈殿し、汚泥となります。
うどんの場合、バスケット下に沈殿物(汚泥)として溜まっていく小麦の処理が厄介です。

3-2. 2槽目:油脂を分離する

写真の真ん中が2槽目。1槽目で取りきれなかった油脂が、水と油の比重差で水面付近に浮上してきます。
1槽目で食品残渣を取り除いた厨房排水から、今度は油脂を分離する役割を担います。

3-3. 3槽目:油脂をさらに分離し、きれいな水へ

写真の右側が3槽目。1槽目、2槽目で固形物や余分な油脂を取り除いた排水が溜まります。
グリストラップの出口には下側から水が流れるようにトラップ管が設置されており、水面にはさらに分離した油脂が浮き上がっています。
そうすることで、きれいになった排水を下水道へ流します。

4.うどん屋のグリストラップ清掃は、プロの定期清掃で万全の状態へ

うどんチェーンの店舗数はコロナ禍で一時大幅に減少したものの、
2021年以降は再び増加しており、特に大手チェーン店はコロナ禍前に近い水準まで復活してきています。店舗数が増えるほど、グリストラップや排水管・排水溝の清掃が行き届いていない店舗が出てくる可能性は高くなるため、特に注意が必要な時期とも言えます。
現代はSNSであっという間に口コミが広がります。
事業拡大の途中で、たった1店舗でも悪評が広まってしまえばブランドに傷がつき、大打撃を受けてしまうことでしょう。
そのようなことにならないためにも全店のグリストラップを一元的に管理し、衛生管理担当者が常に清掃状況を把握できるようにしておくことが重要です。

4-1.グリストラップ清掃は日頃の管理が大切

グリストラップは、1槽目のバスケットに溜まったゴミを毎日取り除くことが非常に重要です。
これだけで、排水詰まりや悪臭の発生を予防する効果があります。回収したゴミは水分をしっかり絞り、一般ゴミと区別してまとめるようにしましょう。水分が多い状態でビニール袋に入れておくと、業者が回収してくれないケースがあるので注意が必要です。
この場合、食品残渣が外に放置されている状態になり、害虫や悪臭を発生させてしまいます。

4-2.うどん屋のグリストラップならではの問題点

各槽の清掃には、「生ゴミ処分」「油脂・汚泥の収集」「本体の洗浄」などの異なる作業があり、大変かつ時間がかかるため、スタッフにとっては非常に骨の折れる作業です。
特にうどんチェーンの場合は、バスケットを通り抜けた小麦が底部に溜まり、他の業種と比較して清掃が困難と言えます。水面上は一見キレイに見えるというのも厄介な点です。
天ぷらや揚げ物から出る油脂分も非常に多く、うどんから出る厨房排水だけではない点も忘れてはいけません。

4-3.全店舗を一元管理できる専門業者へ定期的に清掃を依頼

このように清掃作業は非常に大変な作業で、スタッフによる清掃では完璧にきれいにすることは難しいケースが多いです。
また、スタッフによって清掃のクオリティに差があることもしばしば。チェーン展開している店舗において、一定レベルの清掃を全店舗・全スタッフに徹底するのは至難の業です。
このような問題解決をするには、定期的にグリストラップ清掃を専門業者に依頼することをオススメします。厨房を衛生的に保つだけでなく、スタッフの負担も軽減することができ、他の作業に人員を充てることができるため人手不足の解消にもつながる可能性もあります。
現在は全店のグリストラップ清掃を一元的に管理し、本部の厨房衛生管理者と店舗の間で実態を簡単に共有できるサービスをもつ清掃業者もあるため、グリストラップ清掃や排水溝・排水管・グレーチングの清掃までを一括して委託できる業者へのアウトソーシングを検討されてみてはいかがでしょうか。

こちらの記事では、プロ業者が行うグリストラップ清掃について詳細に解説しています。
是非、ご一読ください。