マンション・ビル・商業施設の施設管理者や浄化槽メーカーの皆様、
浄化槽の維持管理は万全ですか?
破損やひび割れ、水漏れといった不測の事態に備えて、
日頃から補修や修理への対応を考えておくことはとても大切です。
「浄化槽が壊れた!?」と慌ててしまう前に知っておくべき
知識と特に壊れやすい箇所、対応策をまとめました。

1.浄化槽管理者の3大義務とは?補修・修理の前に大切なこと

そもそも浄化槽とは、下水道のない地域に設置され、建物から出る汚水を微生物の働きで浄化し、
きれいな水を放流するための設備のこと。微生物がきちんと働き、浄化槽が正しく機能するためにも、適切な維持管理が大切です。
維持管理を行わなければ、放流水の水質悪化や悪臭の発生につながり、建物の周辺環境の悪化を招きかねません。
管理者には環境省が定める浄化槽法によって、以下の3点が義務付けられています。

1-1.年3回以上の保守点検

浄化槽のブロアやばっ気槽などの装置の稼働状況や状態の点検を行い、その調整・修理、消毒剤の補充などを行います。
また、汚泥の溜まり具合を調べ、年1回以上の清掃の必要性について判断します。

いずれの業務も市区町村の許認可を受けた保守点検業者、または浄化槽管理士が行う必要があります。
浄化槽の管理者が許認可を有していない場合には、資格=浄化槽管理士を持つ保守点検業者へ委託してください。

1-2.年1回以上の清掃

汚水の浄化の過程で槽内に溜まった余分な汚泥を、バキュームカーで吸引します。
加えて、槽内および各装置の洗浄を行うことで、浄化槽の機能低下や汚物の流出、悪臭の発生等を未然に防ぎます。

汚泥引抜(汲み取り)と槽内の清掃は共に、非常に高い専門性が求められるものです。
この作業もまた、市区町村の許認可を受けた専門の清掃業者へ依頼しなければなりません。

1-3.年1回の法定検査

法定検査では、第三者である検査機関(知事指定)が浄化槽の水質・外観・維持管理状況(保守点検・清掃の状況)を
厳しくチェックします。浄化槽が正しく機能しているかを、統合的に判断するための検査です。

2.浄化槽が壊れた!?維持管理していても異常が起きる原因とは?

一般に、浄化槽の耐用年数は20〜30年とされています。
以降は適切な保守点検・清掃・法定検査を行っていても、何らかの異常が発生する可能性は高くなります。
水漏れやトイレの悪臭、異常な音などがある場合は、もしかすると浄化槽の破損・ひび割れ・亀裂などが発生しているかもしれません。
また、日頃の維持管理・法定検査で異常が見つかることや、目視でマンホールの蓋の破損等を発見できる場合もあります。

いずれのケースにおいても、経年劣化、地震、地盤の変化、建物の荷重などさまざまな原因が考えられます。
浄化槽にいつ・どこで・何が起こるかは、神のみぞ知るといっても過言ではありません。
保守点検時だけでなく、地震や豪雨などの自然災害の後、浄化槽周囲の悪臭や不穏な音などの違和感を感じたら、
専門業者への調査依頼を検討してみるのも良いでしょう。

3.浄化槽の補修・修理、壊れやすい3つの箇所と取るべき対策

施工前の浄化槽イメージ

それでは、浄化槽の破損・ひび割れ・亀裂は、どこで起こることが多いのか。
それぞれのチェックポイントと対策、今後のトラブル予防策をご紹介します。

3-1.マンホールの蓋

マンホールの蓋は、いわゆる浄化槽の蓋の役割を担い、水が溢れることや臭いの漏れ、虫の流出等を防いでくれます。
その多くが鉄製のため、浄化槽内で発生しやすい硫化水素の影響により、年月を経て腐食してしまうことがあります。
腐食したマンホールの上を車や人が通ると、その重みで破損してしまうことがあります。

【チェックポイント】
・蓋に足を乗せるとガタガタする
・全体がサビでボコボコしている

【対策】
・マンホール蓋の交換

【今後のトラブル予防策】
鉄製から腐食しにくいFRP製に交換するのが望ましく、
FRP製の蓋の形状に合わせて、蓋枠の交換も検討する。

3-2.壁面・仕切り板

浄化槽の壁面および各槽を分割する仕切り板は、地震や地盤の隆起・沈下、植物根の侵入等により破損してしまう場合があります。
法定検査や保守点検業者による定期点検で槽内の水位が明らかに低下していたら、破損による漏水が起きている可能性が高いと言えます。

漏水が発生すると、浄化槽が正常に稼働しないことに加え、周囲の土壌汚染や悪臭などの環境悪化を招く恐れもあります。

【チェックポイント】
・目視で破損や漏水が起きていないか
・槽内の水位が低下していないか

【対策】
槽内の水の引き抜き・清掃を行い、破損箇所を特定した後、
穴埋め・FRPシートの塗布などの処理を行う。

【今後のトラブル予防策】
万が一、破損や亀裂箇所が膨大かつ複数ある場合には、
浄化槽自体の入れ替えの検討も行う。

3-3.接触ろ材

接触ろ材は、浄化槽内の接触ばっ気槽に設置され、微生物の棲家となり、その増殖を助ける装置です。
主にプラスチック製で、波板状・円筒状・ボール状など形状もさまざま。経年劣化により破損してしまうことがあります。
そのカケラや破片が、万が一仕切り板の越流口やポンプに詰まると、浄化槽の排水機能が低下してしまいます。
また、逆流してマンホールやトイレから溢れるといったトラブルも起こりえます。

【チェックポイント】
・定期点検・定期清掃で接触ろ材の破損の有無を確認

【対策】
・接触ろ材の交換

【今後のトラブル予防策】
耐久性・耐衝撃性に優れた素材・構造の接触ろ材を検討する。

浄化槽の壊れやすい3つの対象箇所と対策について、いかがでしたでしょうか。
本記事で繰り返し言及しているように、浄化槽内の破損・ひび割れ・亀裂は、いつ・どこで・何が起こるかわかりません。
対象箇所をきちんと特定して対策を講じるためには、槽内の水の引き抜き・清掃が不可欠です。

浄化槽の保守点検・清掃を含む維持管理および補修・修理に一貫して対応できる業者と日頃から懇意にしておけば、
施設管理者や浄化槽メーカーの皆様も安心できるのではないでしょうか。

タカヤマは、日頃の維持管理はもちろん、緊急の補修・修理にも対応!

24時間
フリーダイヤル受付
土・日
OK
無料相談・お見積はこちら
0120-133-650
フォームからのご相談はこちら