中の状態が見えず、問題に気付きにくいことで、定期的なメンテナンスを怠ってしまいがちなろ材交換。
ろ過機の安定した流量や水質を保つためには、定期的なろ材交換が重要です。
ろ過機本体の維持管理は、ろ材を取り除かなければ着手できないことがあるため、今回のコラムではまとめてメンテナンスを行うメリットをご紹介します。

1.ろ材交換とは?種類の違いや適切なタイミングの判断ポイント

1-1.そもそも、ろ材とは?

中水や上水を生成する際、定められた水質基準を満たすためには、ろ過機が欠かせません。
通常、ろ過の過程に合わせて数種類のろ過機が段階的に使用されますが、一次濾過や二次濾過では、ろ材を使用したろ過機が用いられます。
ろ材にはさまざまな種類があり、排水に含まれるSS(固形物や汚泥)や、ろ過後に求める水質に合わせて、主に【砂・砂利・炭・樹脂】などが使用されます。

1-2.ろ材交換はなぜ重要?水が汚くなってからではアウト!

除害施設で処理しきれなかった排水に含まれるSSは通常、ろ過機の逆洗機能で一度排出されます。しかし、設計値以上のSSが流入すると逆洗機能が間に合わずろ過器の中に溜まってしまい、目詰まりの原因になります。
放置すると、酷い場合にはろ材と汚泥が固まりになって水が通らなくなり、適切な流量や求める水質を保てなくなります。
ろ過機から生成される水は、常に綺麗でなければなりません。汚い水が出てから交換するようでは遅いのです。

1-3.ろ材交換の適切なタイミングとは?

ろ材交換のタイミングは、環境下で大きく異なります。年に1回必要な場合もあれば、3〜5年に1回で問題ない場合もあります。
だからこそ、メーカーや施設の維持管理会社、もしくは清掃業者と相談し、自分たちの環境に合ったタイミングを理解し、定期的にろ材を交換することが大切です。

2.ろ材交換の進め方

【作業当日まで】

2-1.準備・計画

ろ材交換を行う際、実は事前の計画が重要です。
例えば、大型商業施設などで除害施設が地下にある場合、作業が1日で終わらない場合もあります。
いつまでにやるか、作業に必要な日数や作業員数などを確認し、細かな調整を行っておく必要があります。

【作業当日の流れ】

2-2.古いろ材を取り出す

吸引車の乗り入れが可能な場所では、古いろ材を一気に吸い込んで濾過器の中を空にします。
一方、2-1で紹介したような吸引車が入れない環境では、全てのろ材を人の手で取り出します。その場合、取り出すだけで丸2日かかることもあります。ろ材は水を含んで重くなっているため、注意が必要な作業です。

2-3.ろ過機内の清掃

ろ過機の中は、ろ材が空になった時にしか清掃できません。新しいろ材を入れる前に、目立つ汚れや固着している汚泥を落とします。
ストレーナの交換も必要な場合、このタイミングで一緒に行います。

2-4.新しいろ材を投入

ろ過機内が綺麗になったら、新しいろ材を入れます。
複数のろ材を層にして投入する場合は順序を守り、均等に広がるように整えることがポイントです。取り出す時と同様に、新しいろ材を地下まで人力で運ぶ場合、作業に数日かかる場合があります。

2-5.稼働テストと記録

ろ材の交換を終えたら問題なくろ過できているか確認を行い、記録を取ります。
定期的なメンテナンスの第一歩は、作業日や実行計画を記録しておくことから始まります。次回の交換時期を事前に計画しておくとさらに良いでしょう。

3.周辺機器設備のメンテナンスも一緒に行うのがオススメ!

ろ過機周辺のメンテナンスは、ろ材を引き抜いた時に一緒に行うことがおすすめです。
特に、ストレーナの交換や内面塗装の塗り直しなどはろ材がない状態でしか行うことができません。

例えば、ろ材交換をした後にストレーナの目詰まりが発覚したら、ろ材を再度取り出してストレーナを交換しなければなりません。
内面塗装の詳細についてはこちらの記事をご覧ください。)
また、除外施設のその他の設備も一括でメンテナンスを行える業者であれば、厄介な設備管理を短期間にまとめて行うことも可能です。排水施設のメンテナンスやエンジニアリングは、1社で完結できる専門業社へ依頼しましょう。

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